印刷をする為にネットカフェへ行った時の事。
受付で会員証を忘れた事に気付き、お姉さんに旨を伝えたら、私を見るなり
「******さんですよね?(私のフルネーム)」と言われ、吃驚…。


再発行、という事態にもならず(会員情報が残っていた)席に通して頂いた。有難い。
しかし何という事だろう…。
私がこのネットカフェに来たのは昨年夏が最後で、お姉さんとは1度しか会った事はない筈なのに
フルネームまで覚えられているとは。
たまにこういう事がある。「覚えられている」事が。
自分の、極端に振れ易い自己肯定感が、揺さぶられる。


話題閑話。
ストレートに言うと、
少し前から好きな男性が居る。
眠れない程の想いは久し振り。
高揚と熱と
ある種の虚無感。
本気になる程、虚しいのは何故?
何処まで行っても溶け合えない虚無。


恋愛は、互いに理性を失うところ迄行けたら成就、と思いたい。
溶け合いたい、などと、叶わないものを求める事は辛いし、淋しいばかりだ。
過去に、私に匹敵するウェットさや愛情表現を持っている男性でなければ
私の恋愛は成立しない、と悟ったのだが、彼は非常にウェットだ。
初めて会った時、余りにロマンティックに見つめるので
照れていたのだが、此方が参ってしまった。


彼にとっては、見つめる事は単なる「狩猟行為」なのかもしれないが、
本当は私が見惚れていたのだ。


見つけるのも、見つめるのも、男性の方が上手。
彼に見つめられたら、見つめ返せない。真剣で力強い眼差しには敵わなくて。
自分は異性を「見る」という事など
本当は知らないのかも知れない、と思う。


何故か今になって、私の元へ迷い込んで来た
美しい目をした雄猫。
抱きすくめ、頭を撫でてあげることしか出来ない。
ひと時の救済。



渡航したら思い出になってしまうのだろう…。
一瞬、照らされるだけ。
それも良しだ。
波に任せて受け入れる。


幾度経験しても、
私にとって恋愛は夢の世界、一篇の映画で、
浮世に過ぎない。
哀切な、美しい断片でしかない。
と、寂しく生まれついた女は思うのだ。